実録・日本共産党

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―その恐るべき素顔と歴史を探る―
思想新聞より

実録・日共産党

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政策編・11

消費税反対の詭弁
公平な税制を提示せず
時代に合わない「所得」一辺倒

 2003年の政治決戦にあたって、共産党が発表した政策には「『歳入改革』―『所得の多いものは多く、少ないものは少なく負担』の経済民主主義をつらぬく」とあります。「所得や資産に応じて」「生計費非課税」は、近代社会が確立してきた税や負担のあり方の原則だとし、大企業や高額所得者に応分の負担をもとめる改革を行い、所得の少ない人に重くのしかかる消費税大増税を選択することは絶対にやってはならない、と強調しています(『総選挙にのぞむ日本共産党の政策』03年10月8日、日本共産党中央委員会)。
 共産党の描く税制は、どうやら所得と資産に対する累進課税を徹底する、つまり所得税や法人税、相続税、それに固定資産税などを強化しようとしているようです。
 「所得の多いものは多く、少ないものは少なく負担」とは当たり前のように受け取られがちですが、実はその「所得」が問題なのです。所得とは通常、収入、利益を指します。個人においては賃金やボーナスなどによって得た収入、会社においては総収入から経費などを差し引いた利益のことです。これを1カ年を基準にして一定の割合で国に納めるのが、所得税と法人税になります。
 しかし、「所得の多いもの」といっても一年間に区切った期間内のことなのか、それとも一生涯のことなのか、これも問題でしょう。たとえばプロ野球選手のように活躍できる期間が限られている職種の場合、ある時期にまとまった収入があっても、累進課税でごっそりと税金にもっていかれると、たとえ生涯収入がサラリーマンと同じでも税金ははるかに多く納めることになります。この野球選手とサラリーマンははたして公平な負担といえるでしょうか。このように「所得」と一概にいっても大変、難しい問題を抱えているのです。
 そこで税は人(所得)、モノ・サービス(消費)、金(資産)の三つにかけるのが基本とされています。日本の税制の根幹になっているのは1944(昭和24)年のシャープ税制で所得税を中心とする累進課税体系です。当時はモノやサービスのきわめて少ない時代で、所得のあった人や法人から経済力に見合った負担(税)を直接とるのが公平とみられたからです(まさに今の共産党のそれです)。
 しかし、経済成長期においては所得税は累進構造であることから物価調整で減税を行わないと、ひとりでに税が増えていく傾向があり、とくに出費の増える40歳代後半の中堅層に著しい増税感を与えました。とりわけ所得補足率がサラリーマンにきわめて厳しく(源泉徴収)、これに対して自営業や農業従事者には甘いところから、サラリーマン九割、自営業者6割、農業従事者4割というクロヨンやトーゴーサンといった表現で不公平さが問われました。
 しかも今やサラリーマンの終身雇用制や年功序列制が揺らぎ、これに代わって成果主義が広がり能力のある青年が高額な年棒で働くなど雇用形態も変化。さらなる少子高齢社会となれば、累進課税中心では現役世代の納税者に耐えられない負担を与えるのは必至です。つまり、単純に「所得の多いものは多く、少ないものは少なく負担」とする税制が時代にそぐわなくなってきたのです。

直間比率の是正応じず
 そこで直間比率の見直しが叫ばれ、所得の直接税中心でなく、モノ・サービス(消費)の間接税の比率を高め、公平な税制を採用することになりました。これならクロヨンで所得を隠しても、それを使うときに(すなわち消費)納税せざるをえなくなります。そこで先進国ではおしなべて消費税が導入されたのです(ちなみにお隣りの韓国は10%です)。
 人、モノ・サービス、金に公平に税金をかけ、かつ国民の行政サービスへの期待に応える財源たりえるか、この困難な課題に向かって税制改革論議をすすめているのです。消費税絶対反対の共産党は時代の遺物です。