実録・日本共産党

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―その恐るべき素顔と歴史を探る―
思想新聞より

実録・日共産党


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政策編・12

都市はスクラップに
再生拒否で衰退一途

 公共事業改革が大きな課題になっていることは、今回の総選挙の争点になったことからも明らかでしょう。共産党は「公共事業の大改革をはかる」として、その中で「新手のムダ―『都市再生』事業にストップをかける」と主張しています。共産党は都市再生に真っ向から反対しているのです。

再生イコール大資本の論理
 都市再生と言えば、たとえば今年4月に東京都港区・六本木にオープンした「六本木ヒルズ」があります。これは民間では国内最大級の市街地再開発事業で、地上54階建ての超高層ビルのオフィス棟や総戸数八百数十戸の住宅、それに店舗や美術館、ホテルなどが集まり、居住人口は約2000人。1日10万人が訪れます。これによって六本木に新たなにぎわいが生まれました。
 一方、大阪では01年3月に大阪市此花区に大型テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が開業しました。大阪湾臨海では大型工場が撤退して広大な跡地が遊んでいたのを何とか活性化しようと、大阪府・市と地元企業がユニバーサル・スタジオを誘致したのです。
 USJには01年度に1千百万人が来場、02年度は不祥事や景気低迷の影響で7百数十万人に減りましたが、その経済的波及効果は絶大です。交通費や宿泊費の1次効果は約3千億円、雇用や消費の2次効果は約1千億円。新規雇用も3万人近く発生したと見られています。
 こうした都市再生事業は大手不動産や企業、銀行が主導していますので、共産党は大資本反対の論理で「都市再生事業にストップをかける」と言うのです。たしかに大規模な都市再生事業は、大手企業がかかわらない限り実現不可能です。しかし、なにも政府が税金を投入して官僚機構を別に作って行うというのではないのです。それがなぜ「新手のムダ」と言えるのでしょうか。
 むろん、こうした事業を呼び込むために優遇措置はとっています。たとえばUSJの場合、臨海地の跡地利用を促進するために大阪湾臨海地域開発整備法(ベイエリア法)を制定、その対象地域で事業所税減免措置をとりました。それで誘致に弾みをつけたのです。
 事業に魅力がなく、人々のニーズに応える内容がなければ、壮大なムダに終わるでしょうが、綿密な企画のもとに官・民一体となって推進すれば間違いなく都市再生に一役買います。こうした手法は大なり小なり全国の都市で行わざるを得ません。それは都市再生が焦眉の急となっているからです。
 戦後の高度経済成長は同時に都市化を意味していました。都市化は20世紀の地球的規模の現象です。人口が5倍になり、その大半が都市に住むようになったからです。先進国では人口の八割が都市住民です。そして都市では自動車の普及で人々は郊外に移住し、大型店も郊外に進出、住みよい環境は郊外型となり、それに伴って都市中心地域の過疎化が進みました。商店街はさびれ空き店が目立つようになり、また重厚長大の工場は海外進出し、そこは跡地となって放置されたままです。
 新規の公共施設は郊外に建設され、中心地域には高齢者と古びた施設が残されました。放っておいても都市はスクラップ化していきます。これは大都市だけでなく地方都市も同じです。ですから都市の規模に応じて、地元自治体、企業、住民の英知を結集して、その都市の個性を発揮できる都市再生事業が不可欠となっているのです。

「まちづくり三法」で活性化
 そこで政府は98年に中心市街地活性法、大店立地法、改正都市計画法の「まちづくり三法」を制定して都市再生に乗りだしたのです。それに基づき全国各地で中心市街地活性化プロジェクトが推進されています。それは決して「新たなムダ」ではありません。
 共産党はそれをストップさせるというのです。共産党の政策を採用すれば、都市再生はとん挫し日本は衰退の一途をたどることでしょう。