実録・日本共産党

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―その恐るべき素顔と歴史を探る―
思想新聞より

実録・日共産党

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政策編・7
行革には何でも反対
民間敵視で国家破産狙う

 かつて行革、今は特殊法人改革。いつの時代にも大きな政治テーマになっているのが行政改革です。行政は常に改革していかないと時代に対応できないからです。
 イギリスの歴史学者パーキンスは「役人は部下の増大を希望する、役人は相互の利益のために仕事を作り出す」、つまり役人の数は実際の仕事の量に関係なく増え続けるという有名な「パーキンスの法則」を明らかにしました。戦後日本は中央省庁に権限を集中させたばかりか、「第二の予算」と称される財政投融資の名のもとに特殊法人を張り巡らせてきたことを考えると、国家ぐるみで「パーキンスの法則」を実行してきたのかも知れません。

国鉄民営化でも嘘八百ならべる
 これを改革しようと八〇年代には中曽根政権が臨調路線で国鉄や電電公社など三公社を民営化、いまではJR、NTTの民間企業として成功していることは周知のとおりです。当時、共産党は何と言ったでしょうか。「利権がらみの過剰投資や放漫経営、国の財政負担原則の放棄など政府の責任を棚上げして、国民と国鉄労働者に犠牲を押しつけ国鉄を解体しようとしている」(83年・総選挙政策)とし、行革は大企業奉仕と防衛力増強の財政捻出のためなどと嘘八百を並べ立てていました。
 実際はまったく違います。国鉄は分割されても解体されません。国民もストで足を奪われずにすみ、国鉄労働者も犠牲を押しつけられませんでした(動労など過激派労組員が“追放”されたのは当然でしょう)。では今日、共産党は「構造改革」についてどう言っているでしょうか。
「大企業の食い物にするための民営化」と位置づけ「大企業や財界の利益に合うかどうかで特殊法人を分類し、大企業の“競争相手”として邪魔な事業は縮小・廃止する(郵政三事業や住宅金融公庫など)、“採算は合わないが大銀行や大企業に役立つ”事業は形を変えて温存させる(石油公団など)、“収益性が高い”事業は民間企業に切り売りして、累積した債務のツケだけは国民におしつける(道路公団など)」(2001年7月、政策委員会声明)などと主張し、ここでも大企業のために国民に犠牲を強いる行革と決めつけています。
 共産党は資本を「原罪」ととらえ、民間とりわけ大企業をブルジョアジーの本家としてこれを敵視、その事業を“悪行”と見ます。そこで民営化は「善なる官」が「悪なる民」に堕落するかのような言い方で批判するわけです。
 もちろん、民営化が何でも良いというのではありません。一般的に公共機関が取り組むべき内容としては「市場の失敗」の分野に限るとされます。その例としては?@公共財・サービスの提供=警察や消防あるいは不特定多数の利用する一般道路や公園など、価格がつけられない分野?A費用逓減(ていげん)産業=電力やガス、水道など独占になれば消費者の利益を損なう恐れがある分野?B外部不経済=公害や薬害など市場の取引では規制出来ない分野――の三点があげられます。その場合でも民間委託や株式会社化(電力、ガス会社など)が望ましいとされています。
 なぜこうした分野に限定すべきかというと、前述した「パーキンスの法則」だけでなく、?@公共機関は経営上の権限と責任が曖昧になりがちで無責任体制に陥りやすい?A民間企業のように業績に応じて賃金やボーナスを決定できず勤労意欲がそがれがちになる?B競争がないところから非効率に陥りやすい――といった点が指摘されています。
 共産党がかつて「祖国」と賛美したソ連は公共機関ばかりだったので非効率・無責任に陥って国家破産したことは世界の人々が知っているところでしょう。

特殊法人民営化は必要不可欠に
 さて、以上の原則から見れば郵政三事業などは「大企業の競争相手として邪魔な事業」だからではなく、公共で行う意味合いがないから縮小・廃止すべきであり、「採算の合わない」石油公団などはそれこそ市場に当てはまらなず、かつ日本のエネルギー戦略上必要なので温存させるべきといえます。また道路公団などは「収益性が高い事業」であるにもかかわらず、累積債務が多額なので(まさに国鉄化)、適切な民間企業化は必至でしょう。小泉首相が言うように「民間でできることは民間に」が不可欠なのです。