実録・日本共産党

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―その恐るべき素顔と歴史を探る―
思想新聞より

実録・日共産党

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政策編・10
警察弱体化を画策
狙いは「警備公安」解体

 今日ほど治安の回復が願われるときはありません。さきほど発表された平成15年版の警察白書によると、犯罪が著しく増加し年間300件に迫る勢いです。検挙率も20%前後に低落し、国民の不安は高まるばかりです。

治安回復策に沈黙するだけ
 小泉首相は今臨時国会の所信表明演説で「世界一安全な国、日本の復活」を実現するとして警察官増員や「空き交番ゼロ」を約束しました。自民党はマニフェストに「警察官一万人増員」を盛り込み、民主党は「警察官3万人増員により凶悪犯罪の検挙率向上」を掲げました。
 ところが共産党は治安回復策に沈黙しています。沈黙どころか結果的に治安悪化に手を貸そうとすらしています。地方議会でも警察官の増員にことごとく反対しているからです。
 さる七月の東京都議会では住民、警察、企業が連携して地域ぐるみで防犯対策に当たる「安全まちづくり条例」が自民、民主、公明などの賛成多数で成立しました。ここでも共産党は「市民生活の監視拡大であり、警察権の強制だ」などという信じがたい的外れな理由で反対しました。
 なぜ共産党はこうも警察の活動に反対するのでしょうか。その根本は国家を敵視しているところにあります。現在の日本を「アメリカ帝国主義と日本独占資本」に支配された反動国家とし、その権力指揮下にあるのが警察としているからです。つまり、共産党の「敵勢力」が警察なのです。
 そこで「党防衛」が党の中心任務のひとつにしています。以前の党規約には「敵の陰謀や弾圧にたいして、つねに警戒し、党と人民の利益をきずつけるものとは積極的にたたかう」(二条)とあり、党の防衛が党員の義務とされていました。
 80年代に新入党員の教育用に使われていた『基本課程』(日本共産党中央委員会教育局編)には、第五章の「党建設と党活動」に「党の防衛」との項目を掲げ「わが党にたいする、反動勢力の攻撃の主要な手段は、卑劣な反共宣伝となっていますが、同時に権力指揮下のスパイ挑発とでっち上げによる弾圧事件も重要な手段となっています」としています。
 そして、公安警察を敵と位置づけて「敵の弾圧にそなえてすべての党員と支部が、最低?@ノート、身分証明書、組織的書類など持ち歩かない、?A任意同行と任意出頭には絶対応じず、ただちに支部や地区に報告する、?B万一逮捕されたら、住所、氏名をふくめ完全黙秘し、国民救済会の弁護士をよべと要求することが大切です」と、具体的な“戦い方”を指導していました。さすがに微笑戦術をとる最近では公然と「党防衛」をいうことはありませんが、重要任務であることに違いはありません。 
 つまり、敵の弱体化すなわち警察弱体化が共産党の本音なのです。特にその矛先は「警備公安」に向かっています。2000年春に全国各地で警察不祥事が相次ぎましたが、共産党はこれを好機とばかりに「一連の“警察犯罪”は警備公安警察の体質を体現した」と称し、「国家公安委員会制度改革案」(同年3月30日提案)をもって警察弱体化をめざしました。
 同案は?@国家公安委員会の警察からの独立性を強化し、警察を民主的に管理できる体制を確立する?A都道府県公安委員会も同様に改革する?B国家公安委員の警察庁による推薦をやめ、国会で「指名聴聞会」を行う?C監察機構を警察から分離し、国家公安委員会のもとにつくるなど、警察の「民主的管理」を要求しているのが特徴です。「民主的管理」の名の下に警察をコントロールできる仕組みを作り「警備公安」を廃止させようというわけです。

公安調査庁の廃止も企てる
 さらに「公安調査庁は、国民にたいするスパイ活動を日常的におこなっている秘密警察の一つ」と位置づけて「民主政治や国民の基本的人権と相いれない公安調査庁と破防法を、ただちに廃止」するように主張しています。このように警察や公安調査庁を敵視しているのですから、治安回復などできる相談ではありません。