実録・日本共産党

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―その恐るべき素顔と歴史を探る―
思想新聞より

実録・日共産党

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政策編 3

大企業の解体狙う
経済弱体化で革命へ

 共産党の経済政策で特徴的なのは、「大企業敵視」論に立っていることです。さきほど明らかにされた綱領改定案でも従来どおりの「企業敵視」論を展開しています。
 たとえば次のような具合です。
 「(日本独占資本主義の中心をなす)少数の大企業は、大きな富をその手に集中して、巨大化と多国籍企業化の道を進むとともに、日本政府をその強い影響のもとに置き、国家機構の全体を自分たちの階級的利益の実現のために最大限に活用してきた」
 「(大企業・財界の横暴な支配のもと)労働者は、長時間・過密労働に苦しみ、多くの企業で『サービス残業』という違法の搾取方式までが常態化している。雇用を保障する解雇規制の立法も存在しない」
 そして共産党の当面の使命について「異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破」と位置付けています。
 そのために「ルールなき資本主義」の現状を打破することと、「大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる」ことを主張します。

「解雇規制」で企業活動しばる
 たとえば共産党は今国会で労働基準法改正案に猛反対しました。
 現在、デフレ不況が長引き、労働条件をめぐって雇い主と労働者との間に少なからずトラブルがあります。そのなかで最も多いのが解雇についてです。労基法には解雇について明確な決まりがないので、解雇にまつわる一定のルール作りが不可欠というのが改正の意図です。
 ところが共産党は「ルールなき資本主義」といっておきながら、こうしたルールづくりには猛反対し「解雇規制」を要求します。私たちの国には雇用の自由がありますが、それをできないようにしようというのが共産党の経済政策です。
 民間企業の雇用の自由を基本的に認めなければ、自由社会は成り立ちません。逆にいうと、労働者には企業を辞める自由があるのです。その両者の関わりのなかでどう折り合いをつけるか、それが私たち社会のルールづくりのはずです。
 かつてソ連は「失業者のいない国」と自慢していましたが、国もろとも倒産してしまいました。共産党流の「解雇規制」を行えば、ソ連同様に企業もろとも倒産するだけの話です。倒産すれば「サービス残業」どころか仕事そのものがなくなってしまいます。
 みんなで平等に一緒に倒産するか(社会主義)、それとも企業を再生させて大半の人の生き残りを可能にするか(自由主義)、そのいずれかを問われれば雇い主も働く側も後者を選択するでしょう。それが自由社会における企業と労働者の自由活動です。
 それに行きすぎた「解雇規制」を認めれば、逆にいま職を求めている人々にとっては就職の機会を奪うことになりかねません。企業と働く人とのミスマッチがいま大きな問題で、これをどう整合していくか、それには労働力の流動化が不可欠で、そのためにも解雇のルールづくりが必要になっています。
 共産党は「財界・大企業の階級的利益」で大もうけしていると言います。しかし、現在の財界・大企業は大もうけどころではありません。成長著しい中国などと伍して国際競争力を身につけ、生き残っていることに必至です。だからこそ労働力の流動化を進め、成長産業を支援して産業構造を抜本的に改革していかねば、国民全体が失業状態に陥りかねません。
 にもかかわらず「解雇規制」を行えば、その結果は企業解体へとつながっていくことは必至でしょう。しかし、共産党はそんなことはどうでもいいのです。企業を倒産に追い込んで日本経済の弱体化=革命情勢の創出が本当の狙いなのです。あくまでも資本家対労働者という善悪二極論で物ごとを見るのです。
 そして将来、「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である」(綱領)として企業を潰そうとしているのです。共産主義で企業活動と労働者を捉える限り、日本経済の再生はあり得ません。