実録・日本共産党

文字サイズ

―その恐るべき素顔と歴史を探る―
思想新聞より

実録・日共産党

68
戦後編 56

宗教界工作に狂奔
反創価学会と反戦テコに

 保守層の取り込みを狙う共産党は、宗教界にも触手を伸ばしています。今を絶好のチャンス到来として、宗教界工作に狂奔しているのです。
 その理由は三つあります。第一は宗教界はおしなべて反創価学会ですが、その創価学会を母体とする公明党が自民党と連立を組んでおり、反学界=反連立与党=反自民へと誘導しやすいと見ているからです。
 第二は小泉首相の靖国参拝への他宗派の反発を反自民へともっていけると考えているからです。そして第三はイラク戦争で宗教界にも反戦機運が出てきたことをとらえ、これをイラク戦争を支持した自公保政権批判へとつなげ親共産党勢力に組み入れる環境が生まれたと見ているからです。
 もちろん共産党の宗教界工作は今に始まったものではありません。1954(昭和29)年のビキニ水爆被災事件を通じて宗教家の間から反戦平和運動が始まり、翌55年に共産圏からの参加も得て原水爆禁止世界大会が開催されました。これを契機に、共産党は宗教界工作に着手しました。
 そして61年、京都で第一回世界宗教者平和会議を開き、62年にその日本支部として日本宗教者平和協議会(日本宗平協)が創設されました。
 ここに共産党系の宗教集団を集めました。日本山妙法寺、キリスト教平和の会、日本キリスト教矯風会、人類愛善会、丸山教平和の会、宗教者青年平和協議会、仏教者平和懇談会、日中仏教交流懇談会などがそれです。
 以降、宗平連はベトナム戦争反対、靖国神社国有化反対、軍国主義復活反対、平和憲法守護などを掲げて共産党の別働隊となって宗教界への浸透をはかってきたのです。
 90年代後半に無党派旋風が起こると共産党は微笑作戦を進め、97(平成9)年の第21回党大会では保守層とも一緒にやれることはやるという「共同」路線を採り、その一環として宗教界工作を強めます。98年5月には共産党と宗教界の「共同」を目指して、初めて「全国宗教人・日本共産党を支持する会」を結成。同会を「共産党と宗教人の懸け橋」と位置付け、宗教界内部にいる党員や支持者を総動員して、宗教票の取り込みを目指します。
 ここには弓削達フェリス女学院元学長や一法真證(浄土宗)、矢野太一(天理教)、安藤肇(キリスト教)、鳥越順丸(真宗大谷派)、福本正一(神道)の各氏らが、まるでその教団の代表であるかのような顔で加わっています。そして同年7月の参院選挙には川瀬武衞氏(真宗大谷派)を共産党比例代表候補に加え、宗教界も共産党を支持しているといった保守切り崩しキャンペーンを展開しました。
 こうした基盤のうえで現在、共産党は前記の三つの情勢を踏まえて宗教界工作を活発化させているわけです。とりわけ米英軍のイラク戦争を利用してさまざまな宗教界工作を行っています。
 『赤旗』(3月13日付)によると、今年2月には全日本仏教会が「日本仏教者の非戦・平和への願い」を発表したのに続き、天台寺門宗、臨済宗妙心寺派、真宗大谷派(東本願寺)、曹洞宗、天台宗などが反戦決議や声明を相次いで発表。プロテスタント系の日本キリスト教協議会(NCC)と同加盟各教団、日本聖公会、カトリックの最高指導機関の日本司教団も声明や米大統領への書簡などを発表。新宗教教団の組織である新日本宗教団体連合会(新宗連)は理事長名で「武力によらない解決を」との立場を表明したとしています。

立正佼成会に触手を伸ばす
 そして共産党が最も力点を置いているのが新宗連の加盟教団である立正佼成会の動きです。立正佼成会と妙智会などがイラク戦反対アピールを発表し、米大使館や各国政府に送ったことを『赤旗』で大きく伝え、この行動を賛辞する記事をしばしば掲載しています。
 共産党はこれまで保守層とされ自民党を支持してきた教団が、自公連立を機に与党離れを起こし、さらにイラク戦争を通じて反戦色を強めてきていると見て一層、宗教界工作を拡大していこうとしています。