実録・日本共産党

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―その恐るべき素顔と歴史を探る―
思想新聞より

実録・日共産党

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戦後編 52

規約改正で「怖さ」隠す
「民主集中制」は不変


 共産党は第22回党大会を静岡県熱海市で2000(平成12)年11月20日から24日まで開催しました。

22回党大会で規約改正行う
 同大会で共産党は規約から「前衛党」との表現をなくしたほか、不破哲三議長―志位和夫委員長―市田忠義書記局長の新人事を決めました。また自衛隊を条件付きで容認する決議を行いました。これらをもってマスコミの中には共産党が現実路線を一層強めたと評価する向きもありますが、実態は羊頭狗肉路線の看板を一層塗りたてたものといえるでしょう。
 党規約の改正は第一には、規約一条に新たに「党の名称は、日本共産党である」を盛り込んだことです。第二には従来の「日本の労働者階級の前衛政党」との規定から「前衛」を削除し「日本の労働者階級の党であると同時に、日本国民の党」であると変えました。第三には党の組織原則を「民主集中制」としながらも上位下達的な表現を一部緩和しました。
 この三点が規約改正の特徴といえます。
 規約をめぐっては、かねてから国民から批判があり、それをかわすのが今回の規約改正の狙いといえます。つまり「前衛党」「民主集中制」はレーニンが組織原則として規定し、コミンテルン(国際共産党)の加入条件として設けられていたもので、共産党は創立以来これを踏襲してきました。「前衛党」として自らのみが正しいとする「無謬性」と労働階級を指導するという「傲慢性」が他の社会主義者からも共産党が嫌われる大きな要因となってきたのです。
 さらに「民主集中制」のもとで「党の決定は、無条件で実行しなければならない。個人は組織に、少数は多数に、下級は上級に、全国の党組織は、党大会と中央委員会にしたがわなくてはならない」(従来の規約一四条)という秘密結社か軍事組織でなくては見られない規定を設け、これが「鉄の団結」を生みだし「査問」という恐るべき粛清を行わせたのです。
 まさに共産党のレーニン主義を象徴するのが「前衛党」であり「民主集中制」であったわけです。これを放棄するというのなら国民としては大いに歓迎したいところでしょう。しかし、党大会での規約改正を見る限り放棄したとはとうてい言えません。
 たしかに「前衛」という表現は削除しましたが、普通の政党なら「国民の党」とだけで済ませるところを、新規約はあくまでも「労働者階級の党」であることにこだわり続けています。ここから「前衛」削除が戦術にすぎないことがわかります。
 「民主集中制」については新規約にも「民主集中制を組織原則とする」(三条)と明記していることに変わりはありません。ただ前記の規約の表現を次のように改めました。
 「1、党の意思決定は、民主的な議論を尽くし、最終的には多数決で決める、2、決定されたことは、みんなで実行にあたる、行動の統一は、国民に対する公党の責任である、3、すべての指導機関は選挙によってつくられる、4、党内に派閥・分派はつくらない、5、意見が違うことによって、組織的な排除を行ってはならない」

誤解を恐れ変更と不破議長明言
 まるで小学校の校則のように、決められたことはみんなで実行しましょうなどと表現していますが、「民主集中制」を組織原則にし、そのもとで「行動の統一」を要求しているのですから、党の本質は何ら変化していないと言わざるを得ません。レーニン主義から脱皮していないのです。
 事実、不破議長は規約改正について「(規約の)誤解されやすい表現を改めて国民に分かりやすい内容にした」とし、組織原則に問題があるから変更したのではなく「誤解」されやすいから変更したにすぎないとしているのです。共産党の組織に関する根本的疑惑(これは世界中で巻き起こった)について「誤解」で済ませてしまっているのですから、規約改正が羊頭のたぐいであることは明白でしょう。